地域を結ぶ多目的書院
長浜市余呉町中之郷 T様【暮らしのインタビュー】
お客様の声|暮らしのインタビュー
◇長浜市余呉町中之郷 明三寺 筑田様(2015年11月竣工)
◇家族構成/ご夫婦
8年前に再建された書院。元教員のご夫婦が退職後に夢を叶え、地域と繋がる多目的な場所として活用されています。今年、念願のガレージが完成し、現在はどのように活用されているのかをお聞きしました。
書院からおもてなしの場所に
2002年に火災で本堂、書院、自宅が焼失してしまいました。しかし、門徒さんや地域の方々にご協力をいただき、2007年に本堂の再建が実現しました。自宅を建て、8年前にこの書院の再建をさせていただくことができました。
この場所はお寺の法要やお斎(おとき)の食事準備もするため広い厨房を備え、140人分くらいの料理が作れるようになっています。
お寺の行事以外にも、元生徒さんから「子どもに英語を教えてほしい」とご相談をいただき、ここで講座を始めることに。5~6年間、気が付けば多い時で15名ぐらい地元の生徒さんが集まってくれて、生き生きと学び成長される場になって嬉しかったですね。
※お斎(おとき)とは、葬儀・法事の後に行われる食事会のこと
モデルハウスふくらの杜のような空間
和風の2間くらいの書院というイメージで、色々な建物を見学していました。
どれもしっくりこなかったのですが、内保さんの「暮らしギャラリーふくらの杜」の中に入った瞬間に「こんな書院にしたい!!」と一目惚れしたのを覚えています。
落ち着く木の空間、大きな窓、長い土間に薪ストーブ・・・空気感が全然違ったんです。
式台に座って外を眺められるつくりも好きで、「ふくらの杜と一緒にしてください」とお願いしました。
書院に来られた方は玄関を入ると「わぁ!」と驚いてくださいます。「薪ストーブがある!」「天井もすごいね」って。
私はこの土間の雰囲気が好きで。これだけ長い土間はなかなかないですよね。
名栗加工の式台がすごく良い感じで、「どこでつくってもらえるんですか」と聞かれることも。
夏は涼しく、冬は暖かくて、ゆったりと過ごしていただいています。
ここに住めたらいいのにと思うほど、心地いいです。
除夜の鐘をつく大晦日には、薪ストーブを焚いて、来られた方にぜんざいを振舞っています。
薪ストーブの炎って不思議と落ち着くんですよ。炎を眺めてそこに座っている時間が好きで。
薪ストーブを入れて良かったと思います。
珈琲焙煎体験処をオープン
珈琲愛好家の主人は、大垣の珈琲豆販売店まで2週間に1回程度、約7年間通うほどでした。
お店の奥様が淹れてくださった焙煎したての珈琲が美味しくて「こんなにちがうんだ!」って感動したのを覚えています。
退職後、夢が叶って珈琲焙煎処を開店。
焙煎の体験後に珈琲を抽出する際「こんなに泡が立つんだ!」と驚いたり、焙煎機の手回しやマイ焙煎珈琲を味わう楽しさを体験してもらっています。
「お店」という雰囲気ではなく、お寺にある「憩いの場」に気楽に足を運んでもらえたら嬉しいです。(奥様)
過去と現在が調和したお庭
火災で焼けずに残った物を大切にしたいという思いから、元々あった石を工夫してお庭に活かしました。
内保さんのモデルハウス「響の杜」の石畳を参考にして鐘つき堂の踏み石にしたり基礎の石を立てて配置したり。
以前の中庭が琵琶湖の形をしていたとお話したら、庭師さんが地窓から見える場所に苔や鉢で琵琶湖を表現していただいて、とても嬉しかったです。
▲苔の中心に鉢を置いて、水が溜まると「水がめ」のようになり琵琶湖を表現
ご近所の方と「このお庭の石は元々お寺にあった石なんですよ」と世間話をしていると、「実は昔、父が明三寺さんの玄関に使う石を運んだと聞いたことがあります」とお聞きして、「この石だ!」って驚きました。
地域の方と繋がって、昔の話ができることがありがたいですね。
英語、珈琲、車、人生の縮図
私たちの職業だった英語教師、二人とも大好きな珈琲と車、お寺の活動など、この場所は自分たちの夢を詰め込んでいる「人生の縮図」のような特別な空間なんだと感じます。
幼少期から好きだったクラシックカーを2年前に手に入れて、最近、念願のガレージが完成しました。
倉庫に眠っていた新車と一緒に並べて、ここで愛車を眺めながらゆっくりと珈琲を飲むのが至福の時間です。
▲子どもの頃から憧れていたトヨタスポーツ800(通称:ヨタハチ・昭和40年製造)
アイデアが活かされた多目的なこの場所。内保さんは細かい仕様もじっくりと一緒に考えてくださって。
できませんって言われたことがなかったように思います。
内保さんの自由度が高い家づくりや発想のおかげで毎日が豊かになりました。
将来的には地元の人々の憩いの場として気楽に来て話せるカフェ、交流の場として活用してほしいと思っています。
息子が舞台劇をしているのでここで小劇場などの活動ができたら楽しいねと息子と話していて、ここに集まる方が笑顔になってもらえたら嬉しいですね。
自分で珈琲を焙煎、香り高い焙煎したての珈琲を飲んでみませんか?ゆったりした時間を過ごせる隠れ家へぜひお越しください
■焙煎体験 1回 1,000円(作業時間30分程度)
■自家焙煎豆 120g 600円
長浜市余呉町中之郷938-1
OPEN 10:00-17:00(不定期)※要予約
Eーmail chikudacoffee@gmail.com
TEL 090-3766-6337 代表 筑田利美さん
取材後記
「人が集まるっていいですね。」とご主人。地域に開かれ、あたたかい人の輪がつながる書院。可能性が広がり、ますます愛される場所になればいいなと感じました。(広報企画:川瀬)
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