飯尾誠 自己紹介へ

一枚板の個性を活かす ダイニングテーブル

夏本番前ですが暑い日が続きますね…

 

今回の設計ブログは、先週末にお引渡しさせていただいたお客さま宅に納める、

一枚板ダイニングテーブルのお話です。

 

うん?? 

プラスチック板で穴を塞いである一枚板が…大小さまざまな穴や割れが入ったケヤキの一枚板。

これらの個性を活かすため、どのように加工を施していくのかをご紹介します。

 

でも、この穴や割れはどうするの?

この状態のままではテーブルとして使うには少々不便ですよね…

 

そこで、穴や割れの部分に「レジン」を流し込み固めて穴を埋めていきます。

(「レジン」とは、アクセサリーなどで使われたりするもので、

 液体の樹脂に硬化剤を混ぜ合わせることで固まる樹脂のことを言います。)

 

① 混ぜ合わしたレジンを、木の裂けた面に塗っていきます。

  樹脂を流し込んだときに、木の導管から気泡が出るのを防ぐために塗ります。 

  (この作業をしないでいきなりレジンを流し込むと、木の導管から気泡が出てきて、

  レジンが固まったときに、綺麗な透明に仕上がりません。)

ひたすら刷毛で塗っていく作業…もう汗だく。

地道で手間がかかる作業ですが、この作業で仕上りは大きく変わってきます。

 

② 刷毛で塗ったレジンが固まったら、いよいよ穴にレジンを流し込みます。

  しかし一気には流し込まず、割れやくもりが出ないよう、透明度を高めるために、

  少しずつ流し込んで固まったら、また少しずつ流し込んで…と、数日に分けて流し込んでいきます。

  ※冒頭の写真のプラスチック板は、レジンを流し込むための止め板でした。

 

レジンを全て流し込み、硬化したのを確認してプラスチック板を外すと…

おーっ! 綺麗に固まってます。 

地面が透けて見えますね、穴の中がクリアに見えて表情が面白いです。

 

③ テーブル面からはみ出たレジンを削り取ります。

  初めは荒いペーパーで削り、徐々に目の細かいペーパーへと、

  何段階ものペーパーを使い仕上げていきます。

鋭い眼光!

 

ペーパー仕上げが終わった状態。

すりガラスのような質感ですね、これはこれで良い感じがします。

 

ここから仕上に入ります。

綺麗になぁれ、綺麗になぁれ…

気持ちを込めて、コンパウンドでさらに磨きをかけていきます。

粗目から中目、細目へと三段階の磨き作業。

 

地面が透けて見えるまでになりました!いい表情をしてますね。

あとは、オイルを塗って完成です。

 

そして今日…お客さま宅へ搬入してきました。

慣れない初めての作業で、お引渡しに間に合わずすみませんでした。

 

アトリエ・キーメンさんの照明や、ダイニングチェアともマッチしていい感じです。

「あばたもえくぼ」

穴が開いた欠点も、手を加えてあげことで他にはない個性が引き立ち愛着を感じます。

 

なんだか伝統工芸の「金継ぎ」とよく似た感じがします。

完全ではない、不完全なものに美しさを感じ、愛着が生まれるのは日本人独自の感性なんでしょうね。

 

1ページ (全101ページ中)