ようやく梅雨入りしましたね。
木々の緑もますます青さを増し、紫陽花も色鮮やかな季節になりました。
今回は「建築と庭」についてのお話です。
私たちの設計は、内部と外部空間の繋がりを意識し、建物と庭を一体的に考えているので、
プランの段階で必ず外構・植栽の計画を行っています。
庭の持つ役割には…
・暮らしに豊かさを与える(緑を眺める、みんなでバーベキューなど)
・街の景観との調和(地域に貢献)
・視線を遮る(固くではなく、柔らかく視線を遮る)
・夏の日射を遮り、冬は日射を取り入れる(パッシブデザイン)
・四季の移ろいを感じる
・建物との調和(建物のプロポーションを整える)
などが挙げられます。
しかし「庭」には暮らしに豊かさを与える反面、剪定や草むしりなどメンテナンスが大変なのでは…?
お客様からよく心配の声をお聞きします。そんな心配な方には…
「雑木の庭」日本の植生や気候に合っていて、管理も比較的に楽な庭をお勧めします。
色んな「雑木の庭」がありますが、今回はこんな素敵な庭をご紹介します。
こちらの写真は、先月に勉強会で訪れた「泉幸甫先生」が設計された建物(集合住宅)です。
玄関までのアプローチには自然石(鉄平石)を敷き、両脇には青々とした地面を覆う緑が…
その先のカエデとアオダモの木立が、来客を招き入れるような感じがします。
手前の水鉢もとても涼しげでいいですね、秋には紅葉も楽しめそうです。
このように大きな木だけではなく、低めの木やグランドカバー、下草を植えることで
より豊かな表現をすることができます。
「雑木」なのでお手入れも比較的楽ですし、ほとんど手間もかかりません。
少々の雑草も自然の一部と受け入れて、他の植物と一緒に管理してみるのもいいと思います。
意外と可愛らしい花をつける種もありますよ。
最後に個人的にお勧めの植物を…
「ハウチハカエデ」
すっきりとした樹形が特徴で、紅葉の時期はもちろんですが、
葉が薄いので陽光を通した青色も美しく楽しめます。
「カツラ」
丸いハート形の葉が特徴で、秋になると黄色く紅葉して甘く香ります。
まっすぐに伸びる姿が、昔から縁起が良い木とされているようです。
「ソヨゴ」
漢字で「冬青」。冬でも明るい葉を付ける常緑樹です。
風に吹かれると葉が擦れる音がすることから「ソヨゴ」だとか…
6月頃に白い花が咲き、秋には赤い実(雌木)を付けます。
「ガクアジサイ」
西洋紫陽花と違ってとても可憐な印象の花で、ほかの植栽と一緒に
植えても違和感がなくなじみます。
「ギボウシ」
毎年花を咲かせる多年草で、夏に薄紫または白の美しい花を付けます。
葉も美しく、斑入りや色んな葉色の種類が豊富です。
「家庭」という言葉が「家」と「庭」で構成されているように、
人が生活する上で、両者の関係は切り離すことができないのではないでしょうか?